生き残りのファイナンス~MBAでは分からないカネの話~

「改革なくして成長なし」みたいにして、21世紀になりたての頃、大人気だった当時の小泉純一郎政権では、資本金1円でも株式会社の登記を可能にする、中高年や女性向けの起業融資などの起業を支援する施策を打ち出し、我が国における起業を増やそうとしていました。

それでも、起業というのは分かりやすいハイリスク・ハイリターンの世界なのであり、起業にエントリーする際のハードルを下げたとしても、会社経営というものが簡単になるというわけではなかったのです。

結局、5年後の生存率15%未満、10年後の生存率7%未満、20年後の生存率は1%未満という起業の現実が待っていることには違いはなく、多くの挑戦者たちが消えていきました。

必ずしもく自己破産などをして法的に消えた会社ばかりではありませんから、起業家本人は諦めてはいないものの他人目線では既に死に体という会社もあるはずですので、実際にはもっと実質消えていると言えるのかもしれません。

何かが変わる予感がしたあの頃、ライオンヘアーの総理大臣はちょっとしたスターでした。

そんな厳しい起業の現実の世界を渡っていく上で、ちょうど運転免許のような位置づけとなっているのが「MBA(経営学修士)」です。著名人では、楽天創業者の三木谷浩史さんや、DeNA創業者の南場智子さんがMBAホルダーですので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

これがなきゃ経営者になれないのではありませんが、ビジネススクールを修了するためには、経営戦略、会計、ファイナンスなど経営を体系的に会得しなければなりませんので、MBAホルダーになることにより、起業した際の失敗の確率を下げ、生き残りの確率を上げる可能性が高まると言えるでしょう。

また、ビジネススクールには人脈形成の場としての機能もあるため、起業を志す方は投資を検討してみるのも手です。

しかし、リアルな中小・ベンチャー経営の世界では、「MBA(経営学修士)」は万能のツールではありません。

なぜなら、ビジネススクールで取り扱うビジネスケースは成功事例が多く、消える方の瑣末な事例なんて出て来ないのです。

もっと詳しく言いうと、殆どの起業家にとって、IPOもコマーシャル・ペーパーもデット・エクイティ・スワップもレバレッジド・バイアウトも無関係だと言うことです。

むしろ、公庫とか、保証協会とか、リスケとか、そういう話を勉強したほうが役に立ちます。はっきり言うと、大半の中小・ベンチャー経営においては、戦略云々よりも、資金繰りが日々の経営者の仕事になります。

確率論的には失敗する確率の方が圧倒的に高いのですから、来るべき時に備えて生き残りの方法を早い段階で研究しておくことの方が危機管理の観点からは賢明です。

自分自身の能力や運について、それくらいの現実的な視点を持てるからこそ、成功する可能性も出てくるというものです。さあ、皆さん、成功に向けて失敗を学びましょう!

この「生き残りのファイナンス~MBAでは分からないカネの話~」では、生き残りたい起業・独立志望の皆さん向けに不定期でカネの話を掲載します。

失敗する人が殆どの起業の世界。成功すればセレブだけれど現実(リアル)はそんなに甘くありません。

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