「国策に売り無し」。相場の世界には古くからこんな格言があります。
古くは田中角栄内閣による「日本列島改造論」、記憶に新しいところなら安倍晋三内閣による「アベノミクス」のように、マーケットはその時代の為政者たちが放つ国策の影響を受けて上昇しやすいのです。
最近、そんな国策に「働き方改革」が加わりました。
「働き方改革」と言えば、残業を減らして早く家に帰れと言う政策のように思えますが、実は必ずしもそうではありません。
平成30年1月、厚生労働省は「働き方改革」の掛け声に応じ、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成するとともに、公開していた「モデル就業規則」から兼業禁止の記述を削除し、逆に従業員が副業・兼業をすることに関する記述を追加したのです。
つまり、「働き方改革」とは、サラリーマンなどが副業・兼業をすることを推進する政策でもあるのです。
人々が活躍し、充実した日々を送れば、社会・経済は活性化します。副業・兼業などを手始めに、あなたが更に活躍し、本格的に起業家(アントレプレナー)となり、充実した日々を送ることは、この図のような黄金に輝く日本を実現することに繋がるのです。
「働き方改革」を機に、週末や夜間を中心に研究開発などの活動を粘り強く続ければ、いずれはジェフ・ベゾスさんのように宇宙開発だって出来るかもしれません。そんな夢のような話ある訳ないと思うかもしれませんが、一人ではなく仲間を募って皆で取り組めば可能性は一気に高まるのです。志を同じくするチームの力で「雲龍型起業」に取り組みましょう。
ここで言うところの副業・兼業には、アルバイトなどだけでなく起業が含まれています。
当サイトでは、安定した収入を得られる本業と平行的に、守りつつ攻める起業法を、大相撲の横綱の土俵入りになぞらえ「雲龍型起業」と名付けています。
見方を変えると「働き方改革」とは、この「雲龍型起業」を推進する政策と言えるでしょう。
それもそのはずで「アベノミクス」では、当初より、日本を起業大国にすることを目指しているのです。
安倍首相は2012年12月に政権に返り咲いた後、2013年6月の「日本再興戦略 -JAPAN is BACK-」において日本の開業率を10%台にするとし、同年9月には、ニューヨーク証券取引所において「日本を米国のようにベンチャー精神あふれる起業大国にする」と発言しました。
つまり、起業・独立とは「国策」なのです。
この「国策」を買うにしても、サラリーマンが副業・兼業を入り口にして起業家(アントレプレナー)になるには一体何をすれば良いのでしょう。
副業・兼業であっても起業には、5年後の生存率15%未満、10年後の生存率7%未満、20年後の生存率は1%未満という現実が漏れなく付いてきます。
しかしながら、副業・兼業である以上、立ち上げた事業が潰えたとしても、本業によりあなたは生き残ることができるのです。
確かに、本業のサラリーマンとして生き残ることは大切ですが、もっと重要なものがあります。それは、あなたの起業家(アントレプレナー)としての志―その事業を通じて何を実現したいか―です。
あなたはその志の為に、それなりのお金や時間、能力を投じて起業に挑戦するのですから、これは真剣勝負です。最悪の場合に本業というセーフティーネットが働くとしても、その事業の先にある理想の実現に向け、あなたは起業という戦いに勝つ必要があります。
結局の所、入り口は副業・兼業であっても、あなたが起業家(アントレプレナー)となり成功するには、プロフェッショナルとして志を磨き、覚悟を持って、誰にも負けない努力を続けなければならないのです。
副業・兼業を入り口にして起業家(アントレプレナー)を目指す場合、会社員など安定的な本業がセーフティーネットとなり、最悪の場合を回避できます。しかし、最初から「失敗しても大丈夫」、「副業なのでそこまでやらない」などという考え方では、そもそも成功が難しいのです。準備期間など収益が乏しい間も真剣に取り組みましょう。
忘れられている事が多い「金太郎」の結末。神童だった金太郎も、大人になるとサラリーマンになりました。都の武士の家来は、現代なら東京の公務員です。結構普通でお硬い大人の金太郎ですが、現代にも子供の頃は輝いていたけど、今は普通のサラリーマンという大人が相当な数いるのではないでしょうか。実際、有名大学の卒業生は大半が新卒一括採用のレールに乗って、大手企業などのサラリーマンになります。
皆さんは、我が国の昔話に登場する代表的な3人の太郎―桃太郎、金太郎、浦島太郎―をご存知でしょうか。昔話とは、長きに渡り人々の間で語り継がれて来た物語で、言うなれば伝説(レジェンド)です。
永い時の洗礼を受けてなお人々に語り継がれているのですから、伝説(レジェンド)にはそれだけの価値があると言うことです。「歴史に学べ」と言いますが、「伝説(レジェンド)に学ぶ」姿勢も大切だと言えるでしょう。
それでは皆さんが子供の頃に見聞きしたこの3人の太郎の伝説(レジェンド)から、起業家(アントレプレナー)に必要な資質とは何かを考えてみましょう。
まず、金太郎は幼少の頃から熊を相手に稽古をするなどの努力を積み重ね、大人になると都で有名な武士の家来になり、出世したと言います。金太郎は幼少時代の努力やその後の出世により伝説(レジェンド)になりましたが、起業をしていません。本宮ひろ志さんの「サラリーマン金太郎」という漫画がありますが、昔話の金太郎も、実は生涯サラリーマンだったのです。
つまり、努力をしているだけでは、サラリーマンとして活躍し、出世は出来るかもしれませんが、起業家(アントレプレナー)にはなれないということです。
では、桃太郎はどうでしょうか。桃太郎は立派な青年に成長すると悪い鬼を退治すると決め、犬、猿、雉をきび団子で家来にし、鬼を倒し、財宝を得ました。
金太郎と違い、桃太郎は起業家(アントレプレナー)です。サラリーマン経験の有無は絵本などでははっきりしませんが、ある時、鬼を倒すという志を打ち立て、同志を募り、チームの力で「鬼退治」という事業(プロジェクト)を実行し、成功を掴みました。
家来になった犬、猿、雉の能力がズバ抜けて高かったとも思えませんが、悪の打倒というテーマ設定やきび団子というインセンティブにより桃太郎は彼らの能力を鬼と戦える水準まで引き上げ、戦力化したのです。
桃太郎のチームを今風に言うと、無名のベンチャーです。「チーム桃太郎」は、桃太郎のリーダーシップとマネジメントにより結束し、結果を出しました。
しかも、鬼退治のニーズは全国にある可能性があります。財宝を元手に、ノウハウをパッケージ化し、更に同志を募れば、全国展開だって夢ではありません。
桃太郎は、企画力、行動力、戦略性、統率力などのスキルに秀でた起業家(アントレプレナー)なのです。
道端にいた動物3匹の戦力化に成功した桃太郎は優れた創業経営者になり得る人材です。名もない中小・ベンチャーには、一般的な出来る人材は簡単には入ってくれません。そうである以上、創業経営者は自分自身が能力向上に取り組むのはもちろん、入ってくれた人材の能力をノウハウなどを「伝授(ティーチング)」する、自律的な「学習(ラーニング)」を促す、巧みな「監督(コーチング)」によりやる気を引き出すなど、「人材育成のTLC」を駆使して引き上げなければなりません。能力不足の他人を見下し、いい人材がいないと嘆いているようでは、まず務まりません。
浜辺で見ず知らずの亀が虐められていても、身銭を切って亀をいじめっ子から買い取って助けるという行動を選択する人は限られているのではないでしょうか。しかも、あるかどうかも分からない龍宮城に、亀の背中に乗って連れて行って貰うのです。浦島太郎は他人には無い独自の視点を持ったリスクテイカーと言えるでしょう。虎穴に入らずんば虎子を得ずと言いますが、リスクを恐れてばかりいると大きな成功は得られないのです。やってみなければ分からない事に果敢に挑戦する「リスクオン」の姿勢が起業家(アントレプレナー)には不可欠です。つまり、浦島太郎的人材には一発当てて成り上がる可能性があります。
一方、浦島太郎は今風に言うとフリーランス(自営業の漁師)です。絵本などの描写では、仕事道具は釣竿と籠程度の小規模経営であり、起業・独立を果たしてはいるものの成功している訳ではなさそうです。
しかし、浦島太郎には起業家(アントレプレナー)とは何かを考える上で、注目すべき点があります。
浦島太郎は、或る日、虐められていた亀を助け、その亀の導きで海中の龍宮城に向かい接待を受けます。お土産に開封を禁じられた玉手箱を貰いましたが、地上に戻った後、開けてしまい、老人になりました。
浦島太郎には、リスクを犯してでも、正しい行いをし、未知の世界に飛び込み、真実を確かめようとする勇気や好奇心があります。それでいて、自己の責任により被った悪い結果をも受け入れる度量があります。
起業家(アントレプレナー)とは、未知の世界に挑戦する最初の一人になる職業です。勇気や好奇心がなければそもそもこの挑戦は出来ません。また、成功を目指すだけでなく、仮に失敗した場合でも素直に負けを認め、その逆境を乗り越える精神力が必要なのです。
スキルなら実務やビジネススクールなどで鍛えることができます。しかし、志、勇気、好奇心、度量などは、日々の行動の中で磨いて行くほかありません。
多くのサラリーマンは既に金太郎(努力家)の要件は満たしています。このまま努力を続け出世を目指すのも一興ですが、「働き方改革」を機に副業・兼業から始めて起業家(アントレプレナー)になろうとするなら、今の延長線上の努力を続けるだけでは足りません。桃太郎のようなスキルに加え、浦島太郎のようなマインドをも戦略的に手に入れる必要があります。
やる気あふれる人材の皆さんには桃太郎や浦島太郎の伝説(レジェンド)に積極的に学んでいただくとともに、いっそのこと2人の強みを併せ持つ「浦島桃太郎」とでも言うべき人材を目指していただきたいです。
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